PCパーツレビュー @七華
PCパーツレビュー @七華
2025/03/14 新規掲載
2023年前半の出始めの頃に、AI処理目的で導入したのがこのGPU。
当時の仮想敵がRTX 3090であり、
演算性能だけでもRTX 3090を超えたい
空冷2スロット縛り
により選択。
当時は空冷2スロットで唯一の、そして最強の一品だったが、RTX 4070Ti SUPERが後発。
※日本国内の正規流通ルートで入手可能なものに限る
結果的にメモリバス幅・メモリ容量・消費電力…何もかもが微妙な立ち位置となって今に至る。
GTX世代からの乗り換えが2枚とも完了した、と考えれば悪くはない。
RTX 4070Ti SUPERが無ければRTX 40世代の一番星として輝いていただけに、色々と惜しい。
当時はGTX 1080+RTX 3070の組み合わせで運転していたが、理論性能は29 TFLOPs。
RTX 3090が単独で36 TFLOPsに迫るため、RTX 3070との組で超えようとした。
なお、この当時、電源やメモリバス幅はあまり考えていなかった。
画像はELSA Japanの製品概要から切り抜き。
ハイエンドながら2スロット+バックプレートが売り。
他のモデルに比べ薄いことで取り回しがしやすいのだ。
そしてそのGPUを比べたところが右の表。
GTX 1080を置き換える…というのは半分正解ではある。
要は玉突きでRTX 3070をサブに追いやるのが目的だ。
(そしてGTX 1080が装備解除、となる。)
コア数が最も多い割にダイサイズは最小。
そのくせクロックと消費電力が最高なので、熱密度は不安になるところではある。
…色々見たらツッコミどころ満載なスペックなのだが。
主「気がついたら俺の指が勝手に注文してたんだ…()」
さて到着したのがこちら。
アピールポイントにも「Just 2-Slot size」とある通り、バックプレート+2スロの空冷はそれだけで強みになる。
事実、購入当時はRTX 4070Tiの2スロットサイズがこれと派生モデルしかない状況。RTX 3090も1モデルのみ。
更にRTX 3090TiやRTX 4080/4090は2スロット自体が存在しないと、管理人が求める条件に適した最強のグラボだった。
今回は、メーカーにより微OC仕様のX モデルを購入できた。
開封すると、3連ファンの意外と重たいボードが1枚。こいつがRTX 4070Tiの2スロットモデルだ。
何気に3連ファンのグラボ自体、購入履歴で確認可能な、初代GPUのGTX 760以来、実に10年ぶりである。
一番困ったのがこの「12VHPWR」コネクタ。電力的にはPCIe 8pin x2でも良さそうだが、コネクタの統一のためだろうか。
一応変換コネクタ(8pin x2→12VHPWR)はついていたが、これが異様に固い。
より消費の激しいRTX 4090で溶融トラブルが起きていただけに、ちょっと困ったものである。
面倒なので、以降は変換コネクタを取り付けた状態で撮影している。
2025/03/14 新規掲載
当時メイン機で現役だった、GTX 1080(右)とRTX 3070(中)と見比べた様子。
シンプルにボード長が大幅に伸びており、高い熱密度を2スロットで処理するためにヒートシンクを広くしたことがわかる。
一方でRTX 3070とGTX 1080がほとんど同じ大きさだったり、RTX 3070からDVI端子が消えていたりと、変化が大きい。
裏面を見ると、RTX 4070Ti(左)が基盤長で一番短く、GTX 1080ではバックプレートがないなど、こちらも変化が多い。
やはり空冷で冷やすためのエアフロー確保の観点からか、吹き抜けが大きく取られている。
加えてファンの大きさはあまり変わらずとも、3連ファンの割にカード長が短いなど、ボード開発側の工夫が伺える。
出力端子に最も近いファンだけ羽根の枚数が多いのは風量を稼ぐのが目的だそう。
製造年月を見比べると、RTX 3070のボードが2022年5月、RTX 4070Tiが2022年12月。
この2枚はわずか7ヶ月差で製造されたボードであり、ある意味でRTX 3070が可哀想になってくるものだ。
あの当時は確かマイニング需要と円安でグラボの需給が狂っていたはずだが…(詳しい記憶がない)
LHRの影響を受けないRTX 4070Tiなら、必要なときに全力を出せるはずである。
※管理人の持つRTX 3070はLHR型である。
改めてコネクタ付近を拡大すると、RTX 4070Tiの基盤自体はカード長の半分程度しかないことがわかる。
バックプレートも込みで放熱とカード保持に関与するようだ。
そして接続コネクタ側を撮影すると、2スロット+バックプレートだけで収まることがよくわかる。
これを実際に自作PC「七華」に組み込んだのが3枚目の写真。
色々とツッコミどころが多い配線なのはさておき、この時点で既に違和感がある人もいるかもしれない。
そう、その違和感こそ、このRTX 4070Tiを選んだ理由である、「2スロット」に由来する。
拡大するとこちら。
M.2 WiFiスロットに変なパーツ(Coral Edge TPU)が刺さっていることと、
RTX 4070Tiの刺さったスロットのすぐ下にあるPCIe x1スロットが塞がっていないことである。
これにより、X570マザーボードの拡張性を極限まで活かすことができる。
PCIeスロットがあっても、物理的に塞がれては意味がない。
この影響を最小限に抑えつつ、ローコストで性能を発揮するために必要なのが2スロット型GPUなのだ。
今回の内容はこちら。
例によって宗教上()の理由や、他のレビュワーによる検証の都合から、以下の検証のみとする。
Blender 3.4.0 (junkshop/monster/classroom)
GPUPI 3.3.3 320億桁
Lux Mark v3.0 Hotel Lobby
StableDiffusion 512^2 画像生成時間(堺市をイメージした鳥瞰図を10枚)
※ゲームベンチは他所を参照して下さい。ウチのサイトでは扱いませんし扱えませんので。
他の条件は「AMD Ryzen 9 5950X」の検証のときとほとんど同じ(GPUの違いのみ)である。
比較対象として、GPUの強さを実感するためだけにR9 5950XをCPU代表として投入した。
珍しく、5950Xが一方的に負ける試合である…
2025/03/14 新規掲載
普通に考えて、FLOPSから予想できる以上の差がついている。
色々考えられるが、GTX→RTXになったことでRT coreやTensor Coreが使えるようになったことも大きいか。
なのでRTX同士を比べると、RTX 4070TiはRTX 3070のほぼ2倍、FLOPS通りの性能差となっている。
JunkshopはRTX 3070が健闘している一方で、MonsterではRTX 4070Tiがより差を広げているのも面白い。
RTX 3070の乗り換え先として、レンダリング目的で買うならRTX 4070Tiは優秀なGPUだろう。
ここで5950Xがまさかの粛清。こればかりは仕方ない。
(3200万桁という比較的軽い桁数で5分かかっているので、グラフが潰れる…)
GTX 750によるレビューでも3200万桁が2秒台という結果があるので、やはりGPUの並列処理は恐ろしい。
それを踏まえた上で見るならば、概ねFLOPSに反比例するようなグラフとなる。
単純に言えば、RTX 4070TiがRTX 3070の約半分の時間。GTX 1080に対してはより短縮して2割弱となる。
また、複数GPUによる並列処理も可能なので試してみると、やはり並列した分だけ素直に短縮している。
CUDAコアによる処理がよく効く、という点ではシミュレーターにも使えるGPUと考えて良いだろう。
OpenCL系、Ray Tracingレンダリングのベンチマーク。
はっきり言えるのはRTX世代で急激に性能が伸びていることと、RTX 3070・4070Tiの差が小さいこと。
前者は間違いなくRT coreの導入によるものと言える。
後者はRT core数を考えるとRTX 3070がGen2 x46コア、RTX 4070TiがGen3 x60コアなので、差が少ない。
ひょっとすると、Ray Tracing性能は、RT core数に準じた性能なのかもしれない。
他の用途で使い回せることを考えるなら、まだRTX 4070Tiの方が優位だが…
性能や正確性はともかくとして、都市の鳥瞰図をイメージして出力してもらった。
FP32で推測されるFLOPS以上にRTX世代が高速化していることを考えると、Tensor coreによる処理は有効か。
しかしRTX 4070TiはRTX 3070の倍速とはならなかった。
メモリバス幅、中途半端に少ないコア数、微妙に足りないVRAMと、重量タスクにはやや厳しい結果となった。
それでも大幅な高速化を遂げていることには変わりないので、値段が落ちれば選択肢にはなるだろう。
HWinfo読みで消費電力とプロセッサ温度を確認した。
RTX 4070TiがTDP 285Wだったので身構えていたが、負荷時の消費電力はざっと250W程度に収まる。
これなら12VHPWRなんていらない。何なら8pin +6pinで足りる…とは思う。
それ以上に気になったのがGTX 1080の消費電力だが、もう手放した以上考えないことにする。
RTX 3070の消費電力(220W)と比べると確かにRTX 4070Tiの消費電力は高い。
しかし、電力効率自体はかなり改良されているのがわかる。
また、省スペース化で問題になる冷却性能についてもソフト読みで調べてみた。
結果はフルロードで74℃と、安心して使える範囲内の発熱に収まっている。
熱密度はRTX 3070と比べかなり高いが、それを上回る熱処理能力があると示された形か。
いずれにせよ、2スロットでもこのクラスであれば「十分に冷やしきれる」。
騒音についても調べればよかったのだが、生憎マシン構成の都合でケースファンの方がうるさくなる。
しかも測定機材を持っていないこともあり、検証はできない。
ただ、主観的な判断としては「ケースファンで掻き消せる程度の音」なので問題はないだろうと判断している。
…RTX 4070Ti SUPERがなければここでレビューを閉じて「RTX 4070Tiは良作」と評価できていたが()
2025/03/14 新規掲載
RTX 4070Tiは最初から難産と困難の連続だった。
RTX 4080 12GBとして発表されたと思ったら「同じ80番代でスペックが違いすぎるのは詐欺だろ(意訳)」という批判からRTX 4070Tiに改名させられ、
RTX 4070Tiが出てしばらくしたらVRAMもメモリバス幅も大幅に強化されたRTX 4070Ti SUPERが登場。
せっかく演算性能でRTX 3090Tiと並んでも、狭いメモリバス幅が足を引っ張る。
下手に高クロックで回すので性能に対しての燃費がRTX 4090より悪いというのもあった。
性能面では確かにRTX 3090/Tiと同等な、そこそこ優秀なGPUではある。あるのだが、最初から売り方・ダイの使い方、いずれも悪すぎる。
現:RTX 4070Ti SUPER(AD103)を最初からRTX 4070Ti non-SUPERとして売っていれば、ここまで袋叩きに遭うこともなかったのではないか。
もっと言えば、RTX 40シリーズはSUPER付きのモデルがSUPER無しとして売られていればAmpere世代からでも割とすんなり受け入れられたのではないか。
いずれにせよ、様々な面で何かと悔やまれる。
「RTX 4070TiやAD104の製品自体は何も悪くないし、むしろ良い。一番悪いのは、騙し討ちのような売り方を吹っ掛けてきたNVIDIAの販売手法だ。」
ただ、この記事を執筆している時点で最新世代のRTX 50シリーズは性能上昇も微妙とのことである。
RTX 60シリーズが出るまでは、RTX 4070Tiをメインに引っ張るしかないのかもしれない。